国宝・中空土偶

道南の函館市南茅部地区(旧南茅部町)で発見された「中空土偶」は、2007年に国宝に指定された土偶です。南茅部の「茅(カヤ)」と、中空土偶の「空(クウ)」を合わせて、「茅空(カックウ)」という愛称で親しまれています。

中空土偶プロフィール

  • 高さ41.5cm・幅20.1cm・重さ1.745kg
  • 時代 : 縄文時代後期後半(約3,500年前)
  • 出土 : 北海道函館市著保内野(ちょぼないの)遺跡
  • 発見年月日 : 1975年8月24日
  • 所有者 : 函館市

特徴と重要性

  • 中が空洞の中空土偶のなかでは、国内最大の大きさである。
  • 作りが極めて精巧で写実的であり、表面がよく研磨されている。
  • 形状は、正面を向いた顔、左右に大きく張った肩、くびれた胴、長い両脚で、均整が取れている。
  • 基本的な文様は、刻み目が施された細い粘土ひもの貼り付け、または削り出しで表現する三叉(さんさ)状入組文。三叉文と円形文を組み合わせた文様構成が優れ、縄文時代後期後半の特徴をよく表している。
  • 脚部の縄文、腹と顎の部分には黒色、両脚の内側には赤色の顔料が塗られている。
  • 配石を伴う土坑墓群に関連して埋葬された可能性が高く、当時の祭祀や呪術的な生活文化を知る手がかりとなる。
土偶が入っていたと考えられる土坑墓(2006年再調査時)

土偶が入っていたと考えられる土坑墓(2006年再調査時)

CTスキャンで作成した土偶断面の3Dと透過画像

ジャガイモ畑で見つかった宝物

発見されたのは、1975(昭和50)年、小板アエさんジャガイモ畑でイモを掘ろうとクワを入れた時、何かにガツンと当たり、掘り出してみると人の形をした焼き物でした。家族から「教科書で見た埴輪ではないか」と言われ、役場の学芸員のところへ持って行くと、縄文時代の土偶であることが分かりました。
墓とみられる細長い穴に埋められており、頭の髪と両腕は埋められる前に壊れていましたが、それ以外の部分は全てそろっており、縄文時代の信仰の様子などを明らかにする上で欠かせない資料となっています。

北海道初の国宝、世界に縄文をアピール!

発見から4年後、1979年には国の重要文化財に指定され、アメリカのスミソニアン博物館、イギリスの大英博物館など海外4カ国で展示されました。2007年に北海道初の国宝となり、2008年には北海道洞爺湖サミット会場で各国首脳を歓迎するためホテルに特別展示されるなど、海外にも縄文文化の土偶の素晴らしさをアピールしています。

現在は、2011年10月1日にオープンした「函館市縄文文化交流センター」に展示され、常に見学できるようになりました。

関連サイト

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